ドキ☆恋する男の大争奪戦 3
「よっしゃー!いっちばーん!」
EXバーストで1人圧勝のティーダが戻ってきた。
今集団グループがどうなってるか知らないであろう、爽やかなガッツポーズを決めている。
そんなティーダは人数の減った観覧席を見て首を傾げる。
「あれ?人数減ってね?は?」
「ここー」
ガチャ、とエクスデスの鎧をずらして顔を覗かせれば、ティーダは驚く。
「ぎゃー!が喰われてるー!」
「違う違う」
全然疲れてないのか彼は元気いっぱいだった。スポーツ選手は伊達じゃない。
ティーダも観覧席に移動して待っていると、次に姿を現したのはジタンとバッツだった。
「はー、危なかった」
「流石ジタンだなぁ。危なかった危なかった」
「本当に便利だよなものまねって」
2人もまだ巻き込まれる前に差を広げることが出来たらしく、無傷である。
次いで無理をしたジェクトがゼェハァと荒い呼吸をしながらゴールした。
ここまでが、無傷組。後の到着は更に遅れるだろうと思ったが、WOLだけは違った。
「うわっ、WOL!?」
「皆、速かったな」
平然とした顔でゴールして呟くWOLだが、姿が全然平気じゃない。
鎧は黒こげ、綺麗な銀髪も若干ちぢれている。マントなんてないに等しい。
何が合った、とは聞かなくても一目瞭然。
どうやらWOLは全く反撃をせず攻撃を受けてもブレずに走り続けたようだ。
強すぎるっすライトさん。
「ここまでが5位のようですね。後はかなり時間が掛かるでしょうから回収してもらいましょうか」
アルティミシアはレースの終了を告げると、各次元に待機している大会運営委員という名の非参加コスモス・カオスメンバーに指示を送った。
コース管理と棄権者回収の為にいたわけである。
10分後、戦闘不能のフリオニール、皇帝、他ずっと戦って負傷しているスコール、セフィロス、クジャ、ケフカを回収して、全員が戻ってきた。
「続いての競技は早押しクイズ!知識を競ってもらうぞ!!」
「よしきた!」
エリクサーでバッチリ回復して次の競技に進む。
次の競技が知識と聞いて、皇帝は威厳やら何やらは忘れていきり立った。
元々そんなもんだと周囲にはバレてるが。
どこの世界にそんなものがあるのか、分からないがゴルベーザが人数分の早押しクイズの一式を運んできた。
台があって、その上に押すと音の鳴るボタンが置いてある極々シンプルなものだ。
「11人も同時にするとウザったい感じになるので2人1チームとする!チーム分けは自由で良い」
「おい、1人余るぞ。どうすんだ?」
「私は1人で大丈夫だ。何者の力を借りずとも優勝できる」
「だ、そうだ」
ジェクトが気にかけても、自信満々の皇帝がアッサリはねのけた。
知力勝負と聞いてすっかりやる気を取り戻し得意気になっている。
結局チームはWOLフリオ、バッツスコール、ジタンティーダ、ケフカセフィロス、クジャジェクト、そして皇帝となった。
ででん!
オニオンが音響を鳴らす(もはや彼は突っ込む気力をなくしている)
「第一問、昨日が一番最後に食べたものは何でしょう?」
「はぁあああ!?」
ピコン!
問題内容に一斉にブーイングが巻き起こったが、気にせずジタンが早押しした。
そんなもん、と一緒に過ごしているコスモスチームが有利に決まっている。
単純に昨日の夕飯を答えれば良い。
ジタンは自信満々で答えた。
「グラタン!」
「ぶぶー!」
「えっ!?」
しかし不正解を申し渡されて、コスモスチームにどよめきが起こる。
思わずティーダも声を荒げた。
「何で間違いなんだよ!?」
「なにも夕飯が最後だったとは限らないであろう?」
「・・・・・・・」
ガーランドの言葉で、コスモスチームは一斉にを見た。
は、冷や汗だらだら垂らしながら顔を逸らす。
途端にバッツとジタンがを指差しあー!と声を張り上げた。
「!おれらに内緒でつまみ食いしたなー!?」
「お菓子か!果物か!それともガッツリ夜食か!?」
「食糧は少ないんだからみんなで分け合うって決めただろー!」
ガーランドのせいでつまみ食いがバレた。
何てことしてくれんのよぉおお!!っていうか監視されてたのか。
まさかアレを食べてるとこを見られてたなんて・・・・!
つまみ食い問題に意識が集中してる面々はほっといて、再びピコンと音が鳴った。
「美しい小鳥が食べるのはリンゴ。答えはリンゴさ」
「ぶぶー」
「何で食べないんだよ!!」
よく分からない理由から自信満々に答えた結果、逆ギレしたのはクジャだった。
軽くカオスチームにもヒントを与えてしまっているので、種類が絞られつつあるが、ここは運でしかない。
次々と解答音が鳴った。
「ケーキ!」
「ラーメンだ!」
「桃じゃないか?」
しかしなかなか正解が出ない。
正解は不明ということで、答えが出ることもなく終わってくれないかなとは本気で思ったが、しかし幾千もの修羅場を乗り越えてきた彼らは、そう簡単に終わらせない。
下手な鉄砲数打ちゃ当たる方式で適当な答えを続けていた面々だったが、その中で奇跡を起こした者がいた。
WOLが、ボタンを押した。
「するめ」
「ピンポーン!正解ー!!」
ワァー!と喝采が沸き起こる・・・・こともなく、拍手をしたのはガーランドとアルティミシアとコスモスだけで、あとの全員は唖然とした。
ヒロインがそんなもん食って良いのか。
いや美味しいのは認める。するめを否定する気はないが、よりによって何故答えがするめ。
ケーキとか、果物とか女の子らしく可愛いものを食べていて欲しいものだ。
当の本人は、恥ずかしさでエクスデスの中に埋もれていた。
「なかなか進行しそうにないんで、特別にWOLフリオニールチームには得点50ポイントを与える!」
ここまで来て、ようやく一問。
終わらな過ぎて輪廻にさえなりそうにないので、ガーランドは勝手に得点を加算した。
ちなみに先のマラソン勝負では、1位から10ポイント、8、5、3、1以下得点なしという次元であった。
一気に大逆転どころか、
あまりマラソンの意味がない。
しかしブーイングが沸き起こることはなく、尺の問題がある為皆が一致団結して暗黙の了解となった。
むしろカオス側にマラソンでまともに得点を稼いだのはジェクトしかいないので、反論は起こらない。
「どんどん行くぞ、第二問!」
ででん
オニオンは寝っ転がりながら音響を鳴らした。
「のスリーサイズを答えよ!」
ピコン!
今度はバッツが早押しする。
「上から88、63、86!」
「ぶぶー!」
「えー!?うっそだー!」
「ぞくっ」
自信満々で答えたのに不正解を告げられ、不服そうなバッツに、は嫌な予感がした。
奴は、嫌なことを口にする・・・・!!
直感的にそう認識したは、考えるよりも先に動いた。
ぶちっ
「ふがああああああ!!!」
「だって、この前触った時は・・・・・あ、もしかして更に大きくなっ
がは!!」
バッツの顔面に見事命中した・・・・・・物は、木の枝。
は枝を投げた。
エクスデスの中に根を張っていた幹を容赦なくぶち切り枝にした。
引っ込んだり出たりと忙しいヒロインだ。
とは言え、あまりバッツとのことに深く突っ込んでも同じような制裁且つエクスデスが可哀想なことしか待っていなさそうなので、見なかったことにして一同はクイズを続ける。
「ジタン、こーいうの得意なんじゃないんスか?」
「んな訳ないだろ。レディを目先で測ったら失礼だ」
「・・・・・・・分かる訳ないじゃないか・・・・・」
フリオニールなんかは胸のサイズなど全く見当が付かず、顔を赤らめるしかない。
WOLもちんぷんかんぷんでボーッとしてるのみだ。
適当に答えるにしても、数字であるしなかなか出しやすい答えではない。
「!この場で抱かせてくれたらわか
「ぶちっ「ふがああああ!!!!」
馬鹿な発言をし出した皇帝には、やはり先程と同じ攻撃が与えられ、その悲鳴はエクスデスの絶叫にかき消された。
これはまた無駄な時間を使うのでは・・・・と一同が焦り始める中、意外な人物がアッサリ正解を出した。
ピコン
「上から90、63、87」
「正解!セフィロス、貴様やるな」
「フッ、当然だ」
なんと、答えたのは今まで黙々と競技に参加していたセフィロスであった。
多くを語らない彼は、何故この大会に参加しているのかも話していない。
しかし、話は単純だった。
「どうして分かったんだい?」
「ふふ、日頃から女性物を見ることがあってな・・・・・
そう、クラウド!お前の為にだ!!!」
バーン!と両手を広げクラウドに猛烈アピールするセフィロスだが、当の彼はクイズはつまらないと判断したのか1人背を向けゲームに励んでいた。
「クラウドー!に近付けば少しはお前も関わってくると思ったのに、何故参加してないんだ!
・・・・・・・こらー!せめて人の話はちゃんと聞きなさい!そんな子に育てた覚えはありませぇえええん!!」
「うるさい」
構ってもらえなくて涙雑じりで叫ぶセフィロスは、暗闇の雲が倒しておいた。
4
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あとがき
ウチのセフィロスはクラウド大好きっ子です。
ややBLっぽい表現になりますが、別にそーいう設定にしたいのではなく、セフィロスは男が好きなのではなく、クラウドが好きなのだと。
傍に置いておきたいお人形、という認識でしょうか。そんななので、もしそれでも苦手な方いましたらすみません(;´∀`)
あとは・・・・・テンポが速くてツッコミ所満載なのがこの連載の醍醐味なので、敢えて触れないでおく。
しいていえば、せっかく知識が問われるクイズ、と言ってたのに、全く問題がアホっぽいので、皇帝が空気になる(゚∀゚)アヒャ
他のカオスキャラが空気になるのは仕様です。そもそも逆ハーになろうとコスモスメンバー中心なので。
更新日:2009/11/18