ドキ☆恋する男の大争奪戦 2






「コスモス、こちらです」
「ありがとうゴルベーザ」

ゴルベーザに連れられ、観覧席という名の運動会などで良く見るテント張ってテーブルとベンチが設置しているところに、コスモスは座った。
を捕まえたままのエクスデス含む参加しないメンバーもそっちに移動した。
そこで改めて対面する。
あくまでニコニコ微笑んでるコスモスに、は聞かずにはいられない。

「何でコスモスが出てくるの!?目の前の相手分かってるー!?」
「えぇ、分かっております」

コスモスはフッと顔を伏せると寂しげに呟いた。

「ここには娯楽がありません。日々戦いに明け暮れるあなた方が、少しでも楽しんで貰えるならと・・・・」
「コスモス・・・・」

うっとり感動するセシル。どうしてここで天然になれるのか。
何かおかしいって気付けよおおおお!
は半目でコスモスを見た。

「あのー、私楽しくないんですけど」
「全員が一様に楽しめる、そこまで万能な娯楽はありません」
「そーいう問題じゃないいい!」


アルティミシアが振り向く。
そこには凛とした威厳というか、有無を言わせない圧力があって、騒いでいたも思わず息を呑む。

「これはあなたの為でもあるのよ。
こういう形で決着をつけておかないと、いつ皇帝やアホ共が寝込みを襲うか分かったものではないわ」
「そ、それは・・・」
「ここで決まるのは真に強くを想っている者。その方に尽くすのも良いのではなくて?」
「・・・・・・・・・・」

は黙り込んだ。そして考えた。
別にアルティミシアはに嫌がらせをしたい訳じゃない、余計なお世話であるだけで気遣ってくれてるのだ。
ただ・・・・・・・・主旨おかしくない?
カオス側はどうか知らないが、仲間のみんなは単に自分を助けようとしてくれてるだけなのだから、言ってることにそぐわないか、 と声を大にして主張したくとも周りのやる気と期待度は既にMAXだった。
本人を置いてけぼりにして、ちゃっちゃか進行する。
ガーランドが司会としてマイクを片手に声を張り上げた。

「まずは体力と素早さ勝負!ということでここから各空間内を回って」
「ちょっと待てぇええ!!」

柄にもなく皇帝が絶叫した。
その顔は青ざめており必死だ。

「何故よりによってマラソンなのだ!貴様我らに優位に事が運ぶよう種目を選別することもできぬ無能なのか!?」
「俺様にとっちゃ得意な競技だが?」
「脳筋は黙っていろ!!」

もうこれで今日1日分の大声を使った気がする。
鼻息荒い皇帝に、ジタンとバッツが挑発する。

「文句言うなよーもやし皇帝
「そうだーひょろひょろ童帝
「ええい!貴様らのような虫けらとは違うということが分からぬか!」
「では何なら良いと申すのじゃ?」

呆れながらも、暗闇の雲がなんとなしに聞いてみると、皇帝は数秒黙って考えた後不適な笑みを浮かべて答えた。

「絶対皇帝論、というテーマで皇帝のあるべき姿を10分程度の演説をして評価をきそ」
「却下じゃ」

話が長くなりそうな皇帝にはサイレスをかけた。
しかし一度乱れた集団は、そこから好き勝手派生する。

「はいはーい!じゃあ俺ブリッツボールがしたいっス!」
「却下」
「美しさ対決で問題ないだろう?」
「競ってどうする」
「隠し芸大会なんて良いんじゃなーい!?」
「ここじゃないんで、帰りなさい」

あーだこーだと一気にその場は騒がしくなった。
しかし自分勝手な意見をいちいち聞いていたらキリがない。
競技は強制的に開始された。

「ここから必ず走って各次元を通って戻ってくることよーいどん」

ほぼ棒読みで息継ぎなどせずまくし立てたガーランド。
彼の言葉を聞いて瞬時にスタート出来たのはWOLとスコールとセフィロスだけだった。

「はっ、しまった!」
「え、もう走んの?」

事態が呑み込めてない者も、釣られるように順にスタートする。
そしてあっという間に姿が見えなくなる選手たちの走り去った後を見て、はボケッとしながら疑問を口にする。

「・・・・・・・・これ、全員戻ってくるまでここで待つの?」
「もちろん」
「うげ」

あからさまに嫌な顔をしてはうなだれた。
どう考えても暇である。
それよりも、とクラウドがもっと大事な点を訊ねる。

「これじゃ不正しても分からないんじゃないか?」
「その為に、あなた方にも手伝ってもらいます」
「えっ?」

キョトンと瞳を瞬かせるコスモスメンバー。
どうやら選手が不正をしない為のコース監視を任せるらしい。
みんなは説明を受けるとそれぞれの場所にエクスデスによって送還され、結局その場に残ったのは、コスモス、エクスデス、アルティミシアの4人だけだった。
あっという間に静かになってむなしさが辺りを漂う中、はポツリと呟いた。

「・・・・・・・エクスデス、掴まれてる部分が痛い」
「ではワシの中に入るか?」
「えっ、中身ないの?」
「無であるからな」
「それ、次元のはざまに放りこまれない?」
「ファファファ、大丈夫だ」

はエクスデスの鎧の中に埋もれた。
若干木の根らしきものが張り巡らされているが、居心地は悪くない。
意外なエクスデスを知った!
横でほのぼのアホっぽいことしている2人はほっといて、コスモスはスクリーンのようなものを空中に映し出す。
そこにはレースの中継模様が映っていた。

「助かりますわ」
「ただ待っているだけではつまらないですから」

も鎧の隙間から顔を覗かせる。
丁度フリオニールが真ん中辺りで走っているところだった。


*********


「(一番は厳しいが、このペースを保てられれば、そこそこ行けるかな・・・・)」

走りながら前後を確認してフリオニールは思う。
先頭は見事なスタートダッシュを切ったWOL、スコール、セフィロス。
先頭グループが体力の消耗で順位を落とすことはまずないと思うので、追い上げるにはより速く走らなければならない。
だが生憎フリオニールは速さに自信があるわけではないので、すべきことはペース配分を間違えずついていくこと。
ラストスパートまで十分な体力を温存できれば、或いは勝てるかも。
そう見通しを立てていたフリオニールの横を、ジタンが通り過ぎる。

「おっさき〜」

流石ジタン。
若干体力が保つのか不安なペースに見えるが、素早さに自信のある彼は軽くフリオニールを抜いていく。
すると直ぐ後ろをついていくかのようにバッツも通り過ぎる。

「おっさき〜」

同じ言葉を吐いて。
・・・・・・はっ、まさかアイツものまねしてる!?
フリオニールが焦りだした次には、ティーダが横に並んできた。

「のばら、まだこんなとこにいるんスか?」
「は?お前も同じだろ」
「へっへーん、オレはようやく体が温まってきたとこ」

そう言ってティーダは得意気に笑うと、EXバーストを発動した。

「じゃっ!」

ビューンと横に並んでいたのが嘘みたいにティーダはスピードを上げると先頭集団に突っ込んでいった。
フリオニールが唖然としていると、更には続けてその親が追いかけていく。

「テメーにゃ負けねぇよおお!」

流石親子というか、勢いだけで走って行ったが追い抜かれてしまった。
決してジェクトは素早い訳ではないので、ティーダに追いつこうと思うと最初から全力疾走になる。
どう考えても体力が持たないが、もしティーダのEXバーストがゴール近くまで保てば、ジェクトも意地と根性でそこまでついていくかもしれない。
とすると、アレ?結構順位落ちてきたんじゃ・・・・・・
フリオニールが不安になって顔だけ後ろに振り向くと、そこに見たくなかった光景が広がっていた。

「虫けらよ!地にひれ伏して私に道を譲るのだ!」
「僕の走りを邪魔する奴はみんな死んじゃええええ!」
「破壊しながら走るっていーねぇ!楽しいっ!?」

最下位争いと思っていた体力ない皇帝、クジャ、ケフカの3魔導師が無差別に魔法をぶっ放しながら迫ってきていた。

「ぎゃああああああ!!ちょ、それ反則だろぉおお!?」

ちゅどーん


「・・・・・・・・・・・」

クジャの魔法が命中し画面外に吹っ飛んでいったフリオニールを見て、は唖然としていた。
あーあ、他にも飛び火して・・・・・・・っていうか最初から正々堂々と勝つのではなく他者を蹴落として勝つ気なのか、あっ、次はスコールが巻き込まれた。
セフィロスは走るのやめて戦闘開始しちゃったし。何この泥レース。
まぁ魔導師3人組が普通に走ったところで絶対勝てる訳がないのだが、一気にレース中継ではなく乱戦画面になって、は見る気が失せた。

あぁ、早く1日が終われ。











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あとがき

あああああ思った以上に日が空いた;;
ほんと、このお話はくだらないです。中二病的なノリでいきます。
ベタすぎる。でもそれが良い。と思ってる←

ついでに魔導師ーズはゲーム中でほんと足遅いんで、フリオニールであろうと余裕で逃げられる気がしないでもないですが、それはそれ。
当たったのは遠距離魔法だし、普段本気出してないだけなんです、皇帝以外は←



更新日:2009/08/29