I CAN’T SLEEP!
「・・・・・・・・・・ありゃ」
は目の前に広がる光景に困った。
夜も更け自分の部屋に戻ってみると、ティナとオニオンナイトが仲良く寝ているのである。
今回コスモスが用意してくれた宿営地は空間の関係上小さく、2人一部屋をあてがわれていた。
3人部屋もあり、ペアは毎度くじ引きで決めているのだが、とティナは唯一の女同士なので固定されている。
そんな訳での部屋はティナの部屋でもあるのだが、どうやら遊んでいる内に寝てしまったらしい。
の分も敷いてくれていた布団は、しっかりオニオンが使っている。
幸せそうだしなぁ・・・・起こすのも可哀想だし、仕方ない。
は違う場所で寝ることを決心すると、2人に毛布をかけてあげた。
さて、オニオンのペアは誰だったっけ・・・・?
男と同室で寝るのはどうかと思うが、自分の事となると過ちは有り得ないと思うので、気にしない。
バッツとWOLだけは危険という意味で別だが、あとは交渉次第だろう。
どうしてもダメなら野宿を覚悟しなければならないが、思い出した人物は、何とかなる気がした。
フリオニールはボーっとのばらを眺めていた。
オニオンは戻ってこないし、先に寝てしまうのも悪い気がして灯りを点けている。
しかし特にやることもないので、のばらを眺め物思いに耽っていた。
するとコンコン、と小さく扉を叩く音が鳴った。
オニオンが戻ってきたと思い、おーと返事をすると、開けて入ってきたのは寝間着姿のだった。
「なっ!?」
フリオニールは驚きの余り言葉が喉に詰まって出なかった。
なななな何でがここにこんな時間にそんな格好で・・・・!!!
滅多に見ないの寝間着姿、可愛い!!
は入って扉を閉めると、その場にストンと正座した。
フリオニールを気遣ってか近付かない。
どうしたんだ?と高鳴る鼓動を感じながら不思議に思っていると、はおずおずと話を切り出した。
「オニオンってフリオニールと同室だよね?」
「あ、あぁ・・・」
「実はオニオンが私の部屋で寝ちゃっててさ、寝る場所ないの」
「えっ、じゃあどうするんだ?」
「・・・・・・ここで寝て良い?」
ゴンッ!!
フリオニールは盛大に頭を床にぶつけた。
こここここで寝るということは一緒に寝るということで狭いこの部屋で一緒に寝るということは寝てる内に体が触れてしまう可能性があるということでそれは・・・!!
最早フリオニールの脳内はパニックを起こしてオーバーヒートしている。
正常な判断が出来ないながらも、なんとか悪くない言葉を絞り出す。
「いやっ、でもやっぱ俺男だし」
「ダメ?」
「いやダメっていうより、その、の為でっ」
「ここがダメだと外で寝なきゃいけないんだよね〜」
「えっ!?」
てへへ〜と呑気に困ったように笑うだが、フリオニールは顔を青ざめさせる。
外に1人で寝かせることなんて絶対出来ない。
敵は出ないと思うが、風邪を引いてしまうかもしれない。
にそんな不憫なことさせない、だったら俺が・・・・・あっ、俺が外で寝れば良いのか!
気持ちの良い寝床が恋しいが、そこは我慢。寝具一式を持って行ってしまえば良い。
フリオニールは慌てて布団を丸め身支度をしながら言った。
「俺が外で寝るから、はこの部屋使ってくれ」
「えっ!?ちょ、待って!それはない!」
も思わず慌ててフリオニールに近付くとその手を止めた。
そんな、まんまとフリオニールの場所を奪いに来た訳じゃない。
野宿も覚悟の上でオニオンに部屋を譲ったのだ、そこまで図々しくなる気はない。
「良いよ、俺平気だから」
「私が平気じゃない、フリオニールはここにいて!」
「でも」
「いーから!」
頑なに言い聞かせ、進路を塞いでしまえばフリオニールも止まるしかない。
そして再度お願いする。
「一緒に寝よ?」
ガンッ!!
フリオニールは右足を壁に叩き付けてこれが現実であることを確かめた。
だから可愛くて反則ぅうう!!!
気付けば勝手にコクコクと頷いており、フリオニールの心はBREAKした。断れるわけがない。
っていうか、俺、誘われてる・・・・!?
「良かった、ありがとフリオ」
はホッと安心するとさっさと中に入って布団を敷き直し寝る体勢に入った。
布団同士はくっついている。
がとても近くに感じる。
フリオニールは悶々と心の中で格闘した。
これは、どうすれば良いんだ!?誘われてるのか俺!?
普通、一緒に寝ようと言ったらそういう意味ととられてもおかしくない筈だからは覚悟をしてるのか!?
俺に襲ってくれと言ってるのか!?
何か考え事をしているのか、1人百面相をして戻ってこないフリオニールを不思議に思い、は首を傾げる。
「・・・・・まだ寝ないの?」
「いっ、いいいや、寝る!」
「じゃあ灯り消すよ」
がのそりと灯りに手を伸ばしたので、フリオニールは慌てて毛布の中に潜り込んだ。
パッと火が消え暗闇が生まれる。これでお互いの姿が見えない。
その分耳が敏感になってくるので、無駄な音を出さないようフリオニールは固まった。
そして少し冷静になって再び考え込む。
いや待てこれが万が一俺の勘違いだったらに嫌われて仲間の信用も失うことになる。
それだけは嫌だ。しかし他の奴らが同じ状況になったらどうするだろう?
行っちゃうのか、ジタン辺りなら行きそうだな、は誘ってるようにしか見えないし。
仲間でも一夜の関係を築くものなのか、どうなんだ!誰か教えてくれぇえええ!
結局考えれば考えるほどまた脳内がパニックを起こしてくるのだが、仕方ない。
完全に落ち着くことがまず無理だ。強姦まがいのことはしたくないし、普通に眠るにしてもこのままじゃ無理!!
フリオニールは居たたまれなくなって、そっとに声をかけてみた。
「・・・」
「・・・・・・・」
「・・・」
「・・・・・・・」
しかし返事がない。
バッとフリオニールは嫌な予感がして起き上がりを覗き見た。
うそ、まさかもう寝たのか!?
すーっ
そのまさかであった。
寝るのはやっ!!とツッコミを入れたいぐらい自然には寝ていた。
相手が寝てしまっていたら、あーだこーだ考えていたことが現実になることは有り得ない。
は別に誘った訳じゃなかったのだ。
フリオニールは虚しさがこみ上げるも、気が抜けて楽になった。
恥ずかしい・・・・・・・俺も早く、寝よ。
フリオニールが体を倒すと、ゴロンとが寝返りを打ってこっちを向いた。
フリオニールはビクッと反応する。
向かい合う形になってドキドキした。
・・・・・・やっぱ、ちょっと見てよ。
目が慣れてきて、うっすらだがの顔は見える。
可愛いな・・・・・・・無防備で綺麗で、可愛い。
の穏やかな寝顔を見てると、なんだか癒される。
気付けば、疲れが溜まっていたこともあるし、フリオニールの瞼もゆっくり落ちて心地良い眠りに入ろうとした。
のだが、その数十分後。
「んん・・・・・・」
何かが当たっている感触と、熱くなってきた体に少し身じろぐ。
ちょっと腕を伸ばせば、更に何かが当たり・・・・動いて・・・・・・・・・うご!?
フリオニールは重い瞼を頑張って開けて状況確認をした。
すると、ちょっと顎を引いて視線を下ろした先に、の頭がある。
「!?★▽q&Д%mblp!」
フリオニールは声にもならない悲鳴を上げた。
なななな何で!?何でが俺の布団にいいいってうああああ胸かコレ!悪い、!!
下手に動けばの体に触れ、しかもちゃっかりが片方の二の腕を枕にして乗っかっているので、体勢を整えることもできない。
・・・・・・・ゴクッ
思わず喉を鳴らす。心臓が破裂しそうなぐらいバクバク音を鳴らしている。
何で、こんな状況では寝てられるんだ!!!
フリオニールには到底理解出来ない。きっと理解出来る時は強くなってるんだろう。色んな意味で。
フリオニールにとってこれまでで一番辛く、長い長い試練が始まった。
END
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あとがき
この後を裏で書こうかどうしようか考え中なんですけど、どうでしょう?(聞くな)
フリオニールは本当に楽しいです。主に葛藤が(笑)
とっても誠実な子だと思うので、狼になりたいけどなりきれない気がします。
あとすいません、キャラが泊まってる場所については、その時々都合の良いように変わってます。
テントだったりコテージだったり仮住宅施設みたいな感じだったり。これは捏造するしかないですからね。
なんとなくで想像してもらえたら幸いです。
更新日:2009/06/07