練習しましょう 2
「ここまで来れば大丈夫かな・・・」
「・・・・・・・・」
「・・・・・フリオニール?」
「えっ?あ、すまない」
ドキドキドキドキ
フリオニールはぎこちなく返事をすると、ピタッと固まった。緊張しまくっている。
その様子に、こちらまで恥ずかしくなる気がするが、ここはグンと堪えて強気でいこう。
とりあえず立ちっぱなしもなんなので、座るよう促しても座った。
すると楽な姿勢で良いものを、フリオニールは律儀に正座をしている。
その様子が、とても可笑しい。
「ぷっ」
「!?な、何か変だったか?」
「普段通りで良いのに。でもそんなフリオニールが可愛いんだけどね」
「・・・・からかわないでくれ」
照れてそっぽを向くから余計に可愛い。
なんだかこれはこれで初心なままでいる方が美味しい気がするが、まぁ本人の切実な望みなのだから協力しよう。
さて、何からしようか・・・・
別に自分だって経験豊富な方ではなく、率先してできることなどあまりないのだが。
普通に会話するところから始めれば良いのだろうか?しかし生活に支障のない程度ならフリオニールも平気な筈である。
スキンシップ・・・・・・・・・体のスキンシップ、ねぇ。
は片手を差し出した。
「まず手を合わせてみよっか」
「あ、あぁ」
恐る恐るフリオニールも手を差しのばすと、の手を弱く握った。
・・・・・・・・・何故だろう、握手してるように見えるのは。
それでもフリオニールは、緊張しているらしく、手が震えている。
これぐらい早く慣れないと、いつまで経ってもお笑い要員だな・・・・
そうは思いつつ、もう片方の手でそっとフリオニールの手を包んでみた。
ビクッとフリオニールは反応する。
「手を触られるぐらい全然平気だから、色々自分との違いを確認したら良いよ」
ニコッと笑うと、フリオニールは顔を赤くしながらコクコク頷いた。
フリオニールももう片方の手を伸ばして、じっくり女の子の手というものを観察してみる。
なんて小さくて細くて綺麗なんだろう。
この手で自分達と同じように戦っているなんて信じられないが、これが女の子。
「で、恋人同士だったら、こういう繋ぎ方もしたりする」
はそっと指を広げると、フリオニールの指に交差するよう絡めた。
俗にいう恋人繋ぎ。だと思っている。
指同士が満遍なく触れ合うのでなかなか恥ずかしいが、将来フリオニールが使えるようになれば良い。
ドキドキドキドキドキドキ
フリオニールの心音は高鳴るばかりだ。
の温もりが伝わってくる。も恥ずかしいのか、ほんのり顔を赤くしているのが可愛くて、でもそれを見ていていいのか分からず、視線をさまよわせたり。
空気がなんか甘い。こうピンクが周りに飛んでそう。
こ、これが女の子といるってことか・・・・・!
何故だかまで甘く美味しく見え・・・・・・・・・って俺はなんてこと考えてるんだ!
しかしこのままずっと触れ合っていたいと強く思った。
一方はフリオニールが慣れて落ち着いてきたのを感じ取れて、ほっとする。
もう放して良いだろう。
そう思いスッと指を放すと、フリオニールは名残惜しそうに悲しい顔をした。
アレ?早かった?・・・・・・・・次どうしよう。
セシルが具体例を出してくれたのは手繋ぎだけで、他に出来そうなスキンシップが直ぐに思いつかない。
ジタンとバッツがやったのもなー、抱きしめるのはまだフリオニールには早い気がするし、髪を触るのもなんか女の子からやるのとでは違うような・・・。
そこではフリオニールの意見も聞いてみることにした。
「・・・・・・・何かしたいことある?」
「えっ!?」
フリオニールは再び挙動不審になった。
フリオニールなら突拍子もない馬鹿なこと言わないだろうから大丈夫、そう思ったのだが。
「・・・・・・・・触りたい」
「何を?」
断片的過ぎてちょっと恐い。
フリオニールは慌てて付け加えた。
「えっと、じゃあ髪を触ってもいいか?」
「いいよ」
は座り直して背を向けた。自由に触って良いということだろう。
いざ・・・・・・・・
フリオニールはの髪に触れた。
サラサラと指をすり抜ける。よく手入れしていて、自分の癖っ毛とは大違いだ。
確かバッツはこう・・・・・・・・
彼がやって見せたことを思い出しながら真似てみる。
髪を一房手にとり、口をつけるように匂いを嗅ぐ。
優しい、花の匂いがした。
あぁ、良い匂いだ・・・・・・・・髪も手触りが良いし・・・・・・・・もっと、もっと触れたい!
ドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキドキ
心臓の音がに聞こえるんじゃないかというぐらい鳴っている。
それでも、ここで引く訳には行かない、せっかくのチャンス、引きたくない。
ジタンのやっていたことが脳裏に浮かぶ。
ゴクッと喉を鳴らして、フリオニールはそっと後ろからを抱きしめた。
「!?ふ、フリオ」
「頼む、こ、このままでいさせてくれないか?」
顔は見えないが震える声と腕に真っ赤になっていることが想像できる。
フリオニールが頑張っているのだ。
最初驚いて抵抗しかけたが、これぐらい良いかと、その体勢のままジッとすることにした。
今度はこちらの心臓が高鳴る。
あぁ、フリオニールにバレなきゃ良いけど
ほんのり赤く染まった頬だが、お互い顔が見えないので、丁度良かった。
「良かった。結構良い感じだね」
「おおおフリオニールが!のばらが成長している・・・・!」
「しっ!バッツ声でかい!!」
一方そんな2人を物陰からこっそり見守るのは、セシル、バッツ、ジタン・・・・っていうかあの場に居た全員、気になってついて来たらしい。
下手すれば洒落にならないことを押し付けてしまった為、どちらかが行き過ぎて大変なことになってやしないかと心配していたが、とんだ取り越し苦労らしい。
傍から見れば可愛いカップルだ。
ただ微笑ましく見守る者もいれば、ムッと口を尖らせる者もいる。
「あーあ、普段ならあの位置は俺なのに。フリオニールだから仕方ないと思ったけどなー」
「お前はもう十分だろう」
「え、なに?スコールも狙ってた訳?」
「・・・・何でそうなる」
2人にバレては困るのでトーンは小さいが、バチバチと睨み合いを始めるジタンとスコールにセシルは慌てた。
「ほら、今回はフリオニールの為だからさ、もう戻ろう?」
「そうっス!オニオンとティナが料理作って待ってるぜ!」
「行くか」
喧嘩になりそうな2人はWOLが首根っこ掴んで引っ張り、一行はゾロゾロと元の宿営地に戻っていった。
その後2人がどうなったのかは、仲間は皆知らない。
END
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あとがき
い、如何でしたでしょうか・・・!?
初DFF夢はこんな感じでお送りしました!こちらがドキドキもんだよ!
基本ギャグテイストに、ほのぼのとか甘〜い感じが入ったりします。
フリオの童貞設定は、とっても美味しいです。可愛すぎる。
この話を書いてお披露目したいが為にとりあえずサイトが出来ました。
更新日:2009/05/03